介護業界で19年間働いてきた看護師が実感する「自分の死に方は自分で決めよう」ということ

高齢者の看護・介護

看護師として老人介護の現場で19年間働いて来たジグ・ザガーです。

看護師という職業柄、様々な方のご臨終に立ち会ってきました。今日は、多くの方の旅立ちに立ち会わせていただいた経験から、自分の死に方は自分で決めておくことが絶対に必要な理由についてを書いていきます。

私が病院でお世話をさせていただいたターミナル(終末期)の方々

ご本人の意思とは無関係に、自然であれば老衰して亡くなる状態なのに、高カロリーの輸液をされたり、胃ろうを造設されたり、経鼻経管を挿入されたりして栄養管理が行われてベッド上で身動き一つできない寝たきりの状態になって何年も生かされ続けている方々を何人も見てきました。

看護師としての経験から私は、口から食事を摂ることができるかどうか排泄をトイレで行えるかどうか、この二つが出来なくなっていくことが人間の寿命の大きなターニングポイントだと感じています。

高齢者が食事を摂れなくなる理由

年齢が進み、食事を食べられなくなる理由は様々です。第一に、寿命が近づいて食欲が落ちていくのはごく自然な流れなのです。

食べる意欲が無くなって、食事の摂取量が少なくなると当然、体力も落ちてしまい飲み込む力(嚥下力)が低下します。高齢者の場合はもともと全身の筋力も低下しているので、この嚥下力の低下が身体に与える影響力は非常に大きいです。

水分摂取の際にすぐにむせ込むようになり、飲み込んだものが食道ではなくて気道の方に流れ込んでしまう誤嚥を起こしやすくなります。若くて体力のある方であれば、誤って気道に水分などが流れ込んでしまっても咳をすることで回復することができます。

しかし高齢者の場合は、咳をする力も弱まっているため、気道に流れ込んだものを咳で排出することができません。その結果、肺炎(誤嚥性肺炎)を起こしてしまいます。

厚生労働省の2011年度の報告によると、疾患別死亡の第三位が肺炎となっています。

経口で食事を摂取できなくなった際の選択肢

食事を摂取できなくなった際には、いくつかの栄養摂取の方法が行われます。

①抹消点滴

経口での食事量・水分摂取量が低下して最初に行われるのが抹消の血管からの点滴です。水分摂取量が低下して脱水になっていた体に、点滴を入れることで状態が回復します。しかし、加齢によって落ちた食欲が回復するのはあくまでも一時的です。

脱水が回復して食事が摂れるようになっても、いずれまた、食欲が落ちて脱水になってしまいます。

②経鼻経管

経鼻経管とは、鼻から胃まで管を差し込んで、その管から液体の栄養剤を投与する方法です。鼻から管を胃まで差し入れるのには苦痛を伴います。そのため、一度差し入れた管は栄養を流し入れる時だけではなく、管を入れ替える時に抜かれる以外は常に留置されてしまいます。

③胃ろう

胃ろうとは、口から食事がとれなくなったり、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすくなったりした方に、腹部を小さく切開して胃にチューブを通すことで直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です。

④高カロリー輸液

心臓の近くの太い静脈にカテーテルを挿入され、そこからカロリーの高い点滴をすることで栄養摂取を行う方法です。心臓の近くの太い血管にカテーテルを挿入するのは、抹消の細い血管に高カロリーの点滴を行ってしまうと血管が炎症を起こしてしまうからです。

トイレで排泄が出来なくなるということ

トイレで排泄が出来なくなるのにも理由がいくつかあります。加齢によってあらゆる感覚が低下し、便意や尿意を感じなくなってしまう方もいます。足腰が弱くなって、介助をされても立ち上がることが非常に困難で、トイレに行く事を諦めてしまう方もいます。

しかし一番多いのは、ベッド上で寝たきりになってしまうケースです。

トイレでの排泄が完全にできなくなってしまうとオムツが着用されます。ベッド上で寝たきりの方は便秘の方が多くて、定期的に経口の下剤や座薬を使用されて排便をコントロールされます。

寝たきり

食事が完全に摂れなくなり、トイレでの排泄も出来ない状態になってベッド上で寝たきりになっても、先ほど説明した栄養摂取の方法で栄養管理が十分に行われると、何年も自分では身動き一つできない状態で生きる事になります。

会話によってコミュニケーションが図れて、自分の意思が表示できる方は少ないです。

褥瘡ができないように二時間ごとに体位変換が行われたり、全介助で入浴(病院や施設では寝たままの状態で入浴が行えます)をしたり、おむつ交換をされたり、医療的な処置が施されたりする以外は、他動的にも体が動くことはありません。

人工呼吸器

呼吸する能力が低下して人工呼吸器が装着されて、本人の意思に関わらず回復の見込みがないのに延命されてしまうケースもいくつか病院で関わりました。

一度はめた呼吸器は、現在の法律では亡くなるまで取り外すことができません。

自分がそのような状況になった時、あなたはどうしたいか

食事を摂れなくなり、トイレで排泄ができなくなり、ベッド上で寝たきりになった時、それでもあなたは生きていたいですか?

実際に幾人ものそのような状態の方の最期をお世話せていただいた私は、食事を摂れなくなって回復の見込みが無いのであれば自分は生きていたくないというのが正直な、偽りのない気持ちです。

この老衰して亡くなっていくという問題は、生きている以上、いつかは必ず自分に起きる問題なのです。

その時になって、意思表示をしようとしても寝たきりになってしまったり、認知症を患ってしまったりした場合には、自分の考えを表現することができません。

そのような状態になった時、あなたを愛する家族は、あなたが寝たきりであってもとにかく生存していて欲しいと願い、どんな状態になっても生存を維持して欲しい、延命をして欲しいと医療者に依頼してしまうでしょう。

中には深く考えもせずに、できる限りの医療処置をすべて施して、人工呼吸器も装着して延命して欲しいと願うご家族も実際にいるのです。

身動き一つできず、誰とも意思を通わせることもできず、ベッドの上に寝かされて、その状態で何年も生きていたいですか?

最後に

超高齢化社会に私たちは生きています。医療の発展は目覚ましいものがあります。日本は長寿大国です。

しかし、回復の見込みのない方に施される無理な延命の無慈悲さを、看護師という立場で数えきれないほど目撃してきました。

病院で寝たきりの状態が何年も続いていよいよ寿命が尽きようとしている時でさえ、昇圧剤を使用されたり、除細動(電気ショック)が行われたり、心臓マッサージ、人工呼吸が行われて延命されてしまうケースを目の当たりにしてきました。

心臓マッサージで肋骨を骨折する寝たきりの高齢者に私はなりたくありません。

自分の死に方は、絶対に自分で決めておくべきだと、17年間、高齢者介護の現場に携わってきた私は強く思います。

是非、一度、ご家族や友人と、そのような状態になった際に、自分はどうして欲しいのかということを話し合ってみて下さい。

そして話し合った結果を、周囲の人に意思表示しておいて欲しいです。

ベッド上で、寝たきりになって、何年も自分の意思を表示しておかなかったことを後悔しないために。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

前に進む。たとえジグザグであろうとも。

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