花見の季節になると思い出す後輩(その名はマスピ~~~!)

ジグザグな雑文

桜が咲き、お花見の季節になりました。今日、職場の裏庭で、一本だけ生えている今年初めてのつくしを見かけました。もっこりと春です。

私には、この季節になると必ず思い出す後輩が一人います。

違いの判る男
ふむ。話してみろ!

お花見

数年前に花見に行った時のこと、少し酒を飲んだ私はとても楽しい気分になっていた。桜の季節とはいえ日の暮れた外は肌寒く、ビールを飲めばすぐにおしっこがしたくなった。

い日にビールを飲むとやたらと小便がしたくなる。これジャングルの掟。

おしっこしてくらぁ!

一緒に花見に来ていた友人たちに告げ、私はトイレを求めてさまよった。酒に酔って歩く。それだけで楽しかった。酒を飲むと、歩くだけで何か楽しい気分になる。

桜の下にはたくさんの人たちがゴザを広げて盛り上がっていた。いくつもの屋台が並び人が溢れている。

トイレに向かってしばらく歩いていると、前方から学生時代の後輩が人ごみの中を歩いてくるのが見えた。

スピー(あだ名)だった。

お~い! マスピ~!

瞬間的に私は手を挙げて叫んだ。

マスピーという後輩

マスピーは空手道部のとてもかわいい後輩で、「ジグ先輩、ジグ先輩!」と私によく懐いていた。

お~い! マスピ~~!

マスピーは全然、気が付かない。前から歩いてくるのだからその内には気が付くだろうに、酔っている私は一刻も早くマスピーに私の存在を知らしめてやりたくて気持ちがはやる。

僕はこにいる。

お~い! マスピ~~~!

全然、が付かないマスピー。

そう言えば、マスピーはどこか鈍くさいところがあって、空手の試合でも一方的に押していたのにも関わらず、試合終了間際で上段の回し蹴りを浴びてあっさりKOされたりしていた。

お~い! マスピ~~~~!

学生時代、たくさんのOBが乗り込んできて行われる二泊三日の空手道部の地獄合宿で、初日の昼ご飯に出されたアレルギーのあるソバをうっかり食べてナフィラキシーショックを起こして救急車で運ばれたのもマスピーだった。もちろん、『合宿に参加するのが嫌だったからざとレルギーのバを食べた』という疑惑を持たれて合宿から戻った部員全員からロカスに貶されていた。

マスピー
いくら合宿が嫌だからって、命懸けでそんな危ない真似しませんよぉ~?

学生寮で昼寝中にしてパンツを汚し、慌てて洗濯してドライヤー五台を一気に使って乾かそうとして、寮のブレーカーを落として管理人さんにメッチャ怒られていたのもマスピーだった。

マスピー
ジグ先輩! そのエピソード、この話と関係なくないですかぁ~?

原付バイクで野良犬を轢いて転倒し、体中が擦り傷・青あざだらけになったのに、後輩に「どうしたんですか?」と心配されて、とっさに「族車二台にからまれて撃退してやった」と大嘘のハッタリ武勇伝を得意げに語っていたマスピー。

もちろん、は言葉を言い終わらぬうちから見抜かれていた。

宮沢りえのンタフェ』を発売日に三冊(保存用、観賞用、オ〇ニー用)購入して来て、友人に「どうして観賞用とオ〇ニー用を分ける必要があるんだ?」と聞かれてマスピーはこう答えていた。

マスピー
観賞用は眺めるだけだからいいけど、オ〇ニー用はペロペロしたりしてふやけちゃうから二冊いるんだよ♡

全然、気が付かないマスピー

そんな鈍くさくてお茶目な後輩マスピーは、どれだけ手を振って叫んでも私に一向に気が付かない。

お~い! マスピ~~~! マスピ~~~!

大声で連呼しているのに、まったく私に気が付かない後輩マスピーにちょっとだけイラついた私は、乱暴な口調でックスのボリュームで叫んだ。

おい! マスピ~って呼んでるだろぉ~~~!!!

その時、初めてマスピーが私を見た。私は満面に笑みを浮かべてもう一度思い切り叫んだ。

マスピ~~~~~~!!!

距離にして約8メートル、マックスリュームで叫び終わった瞬間、私はハタと気が付いた。

あれ? マスピーじゃない…。誰? この人?
知らないオジサン

知らないオジサンは怪訝そうな顔で私を見てくる。

私は、この場面を収めるストな言葉を、可及的速やかに必死で考えた。

どうすればこの状況を誤魔化せるだろうか?

どうしよう…?

何と言ってこの場を切り抜けようかと悩んでいる間にも、知らないオジサンと私との距離は縮まってくる。

5m

3m

1m

すみません。マスピー見ませんでした?

言い終わった瞬間、私は心の中で忌々しい自分の発言をった。

私が悪いんじゃない。すべてお酒が悪いのだ。

見る訳無いっすよね…。そもそもマスピーって誰やねんって話ですもんね…。

私の訳の分からない質問に、知らないオジサンが笑いをこらえながらと言った様子で答えてくれた。

知らないオジサン
人違いしちゃったんですね(笑) こんだけ豪快な人違いは初めて見ました、って言うかされました(笑)
知らないオジサン
最初は俺に向けて叫んでるって気が付かなかったんですけど、いやぁ~、途中からメッチャ面白かったです(笑)
ハハ…。ハハハハハ…。

恥ずかしさが最高潮になった私は、力なく笑って魔化すことしかできなかった。

知らないオジサン
この人、人違いに気付いたらどうするんだろうか? って思って(笑)
ハハ…。ハハハハハ…。

顔から火が出そうだった。そんな私に向けて、知らないオジサンは悪戯っぽく笑いながら言った。

知らないオジサン
ところで、マスピーって誰なんですか?

 

空手部を引退した途端にまるまる肥えちゃって、三十代の頃から思いっきり禿げ散らかしてスキンヘッドになって、遠目から観たらあんたの外見にソックリになっちゃった哀れな後輩です…

そう思ったけれど、正直に答えるのはやめておいた。

かわいい後輩なんですよねぇ~。ハハ…。ハハハハハ…。

私たちはの樹の下で、互いに笑い合いながら別れた。

花冷えのせいか膀胱はパンパンだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

前に進む。たとえジグザグであろうとも。

 

 

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