『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人 KEI』は名場面が詰まった胸熱本

ジグザグな雑文

胸熱本

以前、紹介した『KEI チカーノになった日本人』(上の画像の右側です)が非常に面白かったので、アマゾンで他の著作『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人 KEI』(上の画像の左側です)を購入して読んでみました。

前作と内容が被っている部分もありましたが、この本も前作同様にとても面白かったので紹介させてもらいます。

ポリス
さっそく引用させてもらっちゃおう♡

「以下引用」

自分がジムでサンドバックを殴っていると、いつも黙々と汗をかきながらトレーニングしている黒人の男がいた。そのシャドーボクシングの美しさと迫力、一目見てプロの格闘家だと分った。

噂はすぐに広まってきた。その黒人はマーシャルアーツ(プロ空手)の全米チャンピオンだったのだ。そいつは自分の腕っぷしの強さをひけらかすわけでもなく、いつも大人しく行動していた。

ジムにいってトレーニングをし、余った時間はベッドの上で黙々と読書に耽る。ちょっと宗教者に近いというか、悟りを開いているような穏やかさががあったが、一方で他の囚人と一切、口を利かない変わり者だった。

ある日、自分がいつものようにジムでサンドバックを殴っていると、その男が近付いてきた。自分の練習を食い入るように見つめたあと、自分に話しかけてきた。

「君はボクシングをやっているのか? よかったら私がコーチしよう」

自分は本当に驚いた。誰とも口を利かない彼が話しかけてきたこともそうだが、格闘技チャンピオンから直接の指導が受けられることなんて滅多にあることではない。自分は喜んでコーチしてもらうことにした。

さすがにチャンピオンの指導だけあって、自分のボクシングの技術はメキメキと上がっていった。それにしても未だに不思議に思う。あのとき彼は、なんで自分に話しかけてきたんだろう。二人でジムに通い、ボクシングのトレーニングをするようになってからも、彼は誰とも口を利かなかった。彼の唯一の友人が自分だったはずだ。

おそらく、プリズンにたった一人の日本人が、生き抜くために格闘技の訓練をする姿を見て、助けてやらなきゃと感じてくれたんじゃないだろうか。こいつが身の安全を自分で守れるよう、格闘技の技術を授けてやろうと。

チャンピオン直伝のボクシング・テクニックは、それから自分がプリズンで生きていくうえで大いに役に立った。ちなみに、チャンピオンはプリズンにいる間、その鍛え抜かれた拳を使うことは一度もなかった。

【『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人 KEI』 KEI〈けい〉(2013年、東京キララ社)】

人との出会い

ポリス
出会いという不思議な縁♡

どうして誰とも口を利かないチャンピオンが、KEIさんにだけ話しかけてきたのでしょうか?

単に話しかけてきただけでなく、コーチまで買って出てくれたそうです。そして、KEIさんと友人になった後も、どうして他の誰とも口を利かなかったのでしょうか?

それこそが、人と人の不思議な縁だったのではないでしょうか。

もしかしたら、KEIさんに話しかけたチャンピオン当人だって、コーチを買って出た理由は判らないのかも知れません。

それにしても、上記引用部分だけでも、一本の映画が作れてしまうような素晴らしい場面です。人生に影響を与えるような出会い、人生を変えてしまうような出会いの場面です。

KEIさんほどの壮絶な経験はありませんが、私の青春時代にも、いくつかそんな人生に影響を与えられたような出会いの場面はありました。

嫌われザガーの青春

ポリス
暴力反対ね♡

私は子供の頃、非常に厳しい父親に育てられました。厳しいと言ってもいわゆる厳格な父親だとかではなく、やたらと気性が激しくて気難しい父親でした。私は大人になってからですが、今までに、外で殴り合いをする父親を二度止めた事があります。

少年時代の私は、家の中ではとにかく父親に気に入られるような優等生を完璧に演じていました。

その反動で、家の外に出るとやんちゃで暴力的な子供に育っていました。

小学校ではクラスメイトの男子は、多分、全員、私に暴力を振るわれています。先生にも反抗的で、テストの際には席が近いクラスの男子生徒たちに「先生が見にくいように左手で汚い字でテスト書けよ」と、訳の分からない強制をしたりしました。

学校には友達なんて一人もいませんでした。完全に嫌われもんでした。

「こんな小学生見たことない」って、色々な教師から何度も言われました。自分は本当は先生や周りの人たちとも仲良くしたいのに、それが何故かできませんでした。

私の人生を変えてくれた先生

ポリス
ぼ、暴力反対ね♡

中学に入ると、違う小学校から入学してきた生徒たちとちょっとしたことで次々に殴り合いのケンカをしました。空手を習っていて、真剣に練習に打ち込んでいたので誰にも負けませんでした。

そんなある日、私の人生のターニングポイントとも言えるような出来事が起きました。

私とは別の小学校から入学してきた生徒の一人と、掃除の仕方をめぐって殴り合いのケンカをしたのです。

ケンカが始まった瞬間に、私は相手が動き出す前に、相手の頭をつかんで、黒板に叩きつけました。額が割れて流血して倒れた相手の顔面を、蹴りまくりました。

勝負には1分もかからなかったと思います。クラスの女子生徒が先生を呼びに行き、相手の男子生徒は保健の先生に付き添われて病院に行きました。額を何針も縫う大ケガでした。

「ザガー、ちょっと来い」

私はその時の担任の男性教諭に呼び出されて、何故か放送室に連れていかれました。

「お前、自分がやったことの意味、分かってるのか?」

「?」

『やったことの意味? ケンカですけど…』

「もし、お前の暴力が原因で、アイツの足が不自由になってしまったらどうする?」

男性教諭は、真剣な表情で私を諭してくれました。

「お前、そうなってしまったら、その責任を一生背負って生きていかなければならないんだぞ」

驚いたことに、その男性教諭は目に涙をためていました。根が素直な私は、一生車椅子生活をしなければならなくなったアイツを想像してみました。そうなったらきっとアイツだけでなく、アイツの家族にも迷惑をかけてしまう。

そんな風になったら、なんて謝ったらいいのか分からない…。

私も泣きました。

約束

ポリス
ぼ、ぼ、暴力反対ね♡

私がひとしきり泣くのを待って、男性教諭は言いました。

「ザガー、先生ともう二度とケンカはしないって約束してくれ」

そう言いながら、男性教諭も涙を流していました。

「先生…。分かった…。俺、もう二度と、ケンカはしません…」

受難の日々

ポリス
ぼ、ぼ、ぼ、暴力反対ね♡

男性教諭との約束の日から、私はパッタリとケンカをしないようになりました。怒れるような事があっても、絶対に手は出しませんでした。そんな私の変化を、中学入学後に少しずつぐれ始めていた生徒たちは見逃しませんでした。

「おい、ザガー、ケンカしようぜ」

小学生の頃に私に殴られていた生徒たちが、次々に私に言ってくるようになりました。

「俺、ケンカはしないから」

「だったら殴らせろや」

「殴りたかったら殴れや」

しつこくケンカを吹っ掛けられて、面倒だった私は、別に殴らせてやる必要は無いのにそう答えていました。

私は、他の生徒たちが大勢いる中で殴られました。誰にも見られないような場所に呼び出されて殴られたことは一度もありませんでした。必ず、大勢の生徒たちのいる場所で、見せしめのように殴られました。

全然、痛くありませんでした。中学に入っても空手は続けていたので、痛くないように殴られる技術も身に付けていたのです。今から考えてみれば、別に相手の攻撃は、捌こうと思えば捌けたのですから捌けばよかったのですが、あの頃の私は相手の攻撃をすべて体で受け止めていました。自分でも、何故、相手の攻撃を一切防がなかったのか不思議です。

『お前らみたいな奴に殴られたって痛くも痒くもないぜ』って、見せつけたかったのかも知れません。

女の子たちの前で殴られるのが恥ずかしかったですが、小学生の頃の自分の行動を考えれば当然の報いだとも思いました。

初めての友達

ポリス
世界に広げよう友達の輪♡

そんな私に、初めての友達が出来ました。

額を数針縫ったアイツです。

「おい、ザガー、今日、俺んちでファミコンやろーぜ」

小学生の頃から誰かから学校帰りに遊びに誘われたことなんて一度もなかったので、そんなアイツの言葉が嬉しくてたまりませんでした。

約束を守り通した

ポリス
じゃ、そーゆーことで♡

他の大勢の生徒たちの前で殴られる日々も、いつしか終わりを告げました。サンドバック状態で殴られても平然とし、殴られ終わると「じゃ、そーゆーことで」と、スタスタ歩いて教室に帰っていく自分に飽きたのでしょうか、いつしか私に暴力をふるう生徒もいなくなりました。

最初はアイツだけだった友達も、少しずつ増えていきました。

男性教諭との約束の日以来、一度も殴り合いのケンカをしたり暴力をふるったりすることもなく中学を卒業しました。

事件勃発

ポリス
事件だ♡ レインボーブリッジを封鎖する♡

中学を卒業するのと同時に親元を離れて生活を始めた私に、ある日、一本の電話がかかって来ました。

「ザガー君、今日の新聞、読んだ?」

母親からでした。

「だったら地方版のところを読んでみて」

母親の言葉に促されて私が新聞をめくると、そこにはこんな見出しが載っていました。

『えっ? 先生が下着泥棒?』

記事によると、住宅街で不審な男性に職務質問を行った警察官が男の自動車を調べたところ、トランクから女性ものの下着が数点見つかったとのことでした。

そうです。

私に泣きながら「お前、自分がやったことの意味、分かってるのか?」と、諭してくれたあの先生こそが、新聞に載っている男性教諭だったのです。

私は新聞を読み終えると、思わず声に出して言っていました。

「先生、あんた、自分がやったことの意味、分かってるのか?」

最後に

『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人 KEI』は、引用させてもらった部分以外にも、何とも言えない素晴らしい映画のような場面がいくつも登場します。

文章もとても読みやすいです。

KEIさんの著作をまだ一冊も読んでおられない方、面白い本をお探しの方、アメリカの刑務所に興味を持たれている方、男の生きざまを感じたい方、胸熱本をお探しの方、そんな方々にはおススメの一冊です。

ポリス
おススメ致しま~す(サザエさん風)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

前に進む。たとえジグザグであろうとも。

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